力を入れると力は逃げる

硬く閉まった瓶の蓋を開けるとき、皆さんはどうしますか?
てっとり早くオープナーを使うという方、正解だと思います。
しかし、オープナー無い場合は??
逞しいパートナーに頼む?
蓋の角をたたいてみる??
多くの方が、とにかく力んで思いっきり力を入れるのではないでしょうか。

そんな時、息はしてますか?
止めてませんか??

慢性腰痛で来院された患者さんの話です。
パン屋を経営されているとても小柄な40代女性Mさん。
友人の紹介で来院されました。
主訴の腰痛と手関節の痛みに関しては2回の来院で
完治しました。8年来の腰痛が一回の施術で無くなり
3週間快調、その後ちょっと痛みが戻ってきた所で
2度目の施術を行いました。その後5か月が経ち、
先日「疲れた」と来院されました。
腰痛と手関節痛に関しては、2度目の施術以後
痛みは無いとの事。

さて、なぜ力の入れ方から、こんな話になったかと言えば
このMさん、とても小柄なため、パン生地をこねる時や
材料の運搬でかなり苦労しておられるとの事。
5か月前にお越しになった折、作業台の高さの改善や
身体の使い方について、指導させて頂いてはいたのですが
基本的な力の乗せ方(入れ方)をつかみきれておらず
今まで通り、息を止め、力んで力仕事をこなしていたとの事。
連日そんな事を何時間もしていれば疲れますよね。

さて、今回Mさんには施術後、いつもパン生地をこねている
動作をして頂き、筋力計を使ってその力を計ってみました。
すると、6.7㎏。力んで思いっきりこねて6.7kgです。
そして、力を抜き、呼吸と動きを合わせ、重心移動を心掛けて
楽に同じ動作をしてもらったところ、なんと8.4㎏!!
同じ動作で、楽に体を使って、全く力んでないのにです。
力んで思いっきり力を入れた時よりも1.7㎏も強く力が乗っている!!
25%以上強い力が発揮されました。

この結果にMさんも大変驚いておりました。
力を入れると身体は硬まり、動きにブレーキがかかります。
そうすると、対象物に力が伝わらず、さらに力み、無駄に疲れる結果となります。

力は「入れる」ではなく「伝える」事が重要です。
力を伝えるには、力を抜く!!
当院では施術と並行して、身体の使い方を患者さんに
覚えていただく事で、日ごろから疲れない、痛くならない身体つくりに
努めています。